第5章 新型輸送車の落成から釜時代の終焉へ

13.キヤ97系いよいよ落成

飯田線各地への一連のレール輸送も終わり、飯田線に静けさが戻った12月に入り、
いよいよキヤ97系が落成する運びとなった。

12月12日、記念すべきキヤ97系第1編成(R1)が製造元より出場、
深夜にその姿を現した。
現行の検測車キヤ95系によく似たデッキ付きの風貌を持つコキみたいな感じだろうか。

落成は、次々と進み、
18日にはR2編成が出場、25日には、R3R4編成重連にての出場が行われ、
あっという間に、4編成が揃ってしまった。

出場後、明けて2008年、早々に各地で試運転が始まった。
測定用プレハブを積載したキヤ97系は、単独・重連・空車・積載とそれぞれに、
JR東海各線区に入線、3月上旬からは、検測用プレハブを卸すために再度製造元に入場、
4月、いよいよその本格運用が始まった。


一方、キヤ97系のロングレール輸送車も、
3月18日及び25日に落成、キヤ97系に牽引され深夜に製造元から出場した。
編成はR101編成、ロンキヤと呼ばれるようになった。
こちらは、前面よりレールの積卸しを行うため、
運転席を高くした、若干厳ついような風貌となった。

出場後、ちらも同様に試運転が行われ、6月14日、一旦、製造元に入場した後、
7月よりその運用を開始した。

落成したキヤ97系R2編成 飯田線 豊川 07.12.18.撮影

各線区にて試運転を重ねるキヤ97系 飯田線 江島−東上 08.2.26.撮影

落成したロンキヤ名古屋方6両 飯田線 豊川 08.3.18.撮影

試運転を重ねるロンキヤ 東海道本線 西小坂井 08.5.8.撮影


14.全ての終焉

2008年もすっかり春となった4月、定尺キヤ97系の本格運用が始まった。
と同時に、チキ工臨の運用は全て終了した。

春もまだ浅い3月7日、EF64−35号機が牽引するチキ4が、
その最後の目撃となってしまった。

実際の運用も、定尺キヤ97系の本格運用と合わせてみれば、
この時期を境に完了してしまったものと思われる。


一方で、気になるのはロンチキの動向である。
気になっていても、終焉へのカウントダウンはもう始まっているはずで、
7月のロンキヤ本格運用予定まで、ということは、長くて6月末までの運用であることは、
明らかな状況であった。

このような状況の中、ロンチキの運用は着実に行われていた。
2008年に入り、1月・3月と名古屋豊橋地区にてEF64−35号機牽引のロンチキを目撃、
また、4月に入って、EF64−2号機牽引のロンチキが、
名古屋地区までの入線を果たすところを目撃した。

が、その終焉は、意外と早くやってきてしまったのだった・・・。


ロンチキ最終の運用となってしまったのは、
4月18日深夜発の西浜松〜米原への運用。
この工臨の釜運用は、変則的な運用が組まれていた。
これには、どうやら悲しい事情が待ち受けているのであった。

18日に西浜松を出発した静岡地区配備のEF64−2号機は、
未明に稲沢までロンチキ牽引を担当。
稲沢にて任務を終え、単機静岡地区に戻ってしまう。

稲沢にてロンチキを引き継ぐことになった名古屋地区配備のEF64−35号機は、
19日、颯爽と米原方面へのロンチキ運用に出発して行くが、
実は、これが同機の悲しい最後の花道と決まっていた。

ロンチキは西浜松常備であることから、米原に向かったロンチキは、
最終的には西浜松に戻ることになる。
そう、推測のとおり、EF64−35号機牽引のまま、西浜松にロンチキを返すことで、
35号機の廃車回送を兼ねていたのであった。

20日に高塚に一泊したEF64−35号機は、
翌21日、西浜松に到着、ロンチキの運用終了と共に、
自らの運用にも終止符を打つことになった。


ところで、この35号機の工臨運用の中で、あるハプニングも起こってしまった。
ロンチキの故障だった。
取卸しのできなかったレールを積載したままの返却となった同工臨は、
後日、この分の再施工が行われるといううわさもあったが、
実際、行われたのかは、不明である。


その後、6月に入り、7月からのロンキヤ運用が固まったためか、
最後まで残った静岡地区のEF64−2号機牽引にて、
西浜松発6月26日及び7月3日のロンチキの廃車回送が行われ、
7月3日の回送完了後、名古屋地区からEF64−2号機自身も
単機回送にて西浜松へと入場、2度とその姿を見ることはなかった。


ここに、JR東海の合理化・省力化への釜廃絶は完結し、
今後は、国鉄時代から脱皮した新しい時代へと進んでいくことになる。

有名撮影地大塚俯瞰を通過するEF64−35号機ロンチキ 東海道本線 三河大塚−三河三谷 08.1.9.撮影

有名撮影地浜名湖橋梁を渡るEF64−35号機ロンチキ 東海道本線 新居町−弁天島 08.3.30.撮影

名古屋地区入線から返るEF64−2号機牽引のロンチキ 東海道本線 鷲津−新居町 08.4.6.撮影

最後の運用と共に自らにも終止符を打つことになったEF64−35号機 東海道本線 西小坂井−豊橋 08.4.20.撮影

ロンチキの廃車回送を牽引するEF64−2号機 東海道本線 名古屋 08.6.26.撮影

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